[日誌]4月8日『木星の新衛星発見』1 カレンダーの存在

駅から歩いて10分くらいのところに今日の稽古場はあって、途中の道で野球部が練習をしている声がする。稽古場には渡邊さんと犬飼さんが先に居て、後から山科さん、少し時間があいて山村さんがやってきた。山村さんは赤いシャツに膝丈くらいのスカートだったので、寒くないですか、とみんなから聞かれている。

とりあえず読み合わせをしましょう、と犬飼さん。ト書きは目で読むとのこと。台本は半分完成していて、その完成している分を読んでみて確かめたい、「新衛星は、木星シリーズの中で、いちばんぼんやりしている」とのことだった。いつの間にか、みんなが座って、円になっていたので、そのまま読みあわせがはじまった。

一回目の読み合わせが終わり出た指示は、「山科さん、優男の眼鏡な感じで言ってもらっていいですか」「山村さん、フランク系でお願いします。今はフォーマル系な感じになっている。」など。各人物のイメージを立ち上げようとしているように思える。ほとんどすぐ、二回目の読み合わせ。そのまま座った状態で。「このまま、いけそうな感じがする」と、この台本の続きが引き続き書かれることが決まった。脚本を声に出して読んでみて一度確かめたい、と以前犬飼さんが演出部ミーティングで言っていた記憶がよみがえる

その後、なぜ座った状態での読みあわせをするのかの話になった。セリフを確認するのではなく、喋ってない時の意識の流れをつくるための読み合わせ。立ってやると情報量が多くなるので、言い方に対するものなのか、動きの問題なのかわからなくなる。立っている意識と同じ状態のまま座った状態でやるとのことだった。ホワイトボードを使ってのどんな風な状態を目指したいかの説明もされる。「内と外をガンガンまじえて進む。それをリズムとしてやる。グルーブ感を目指す。」とのこと。※これについては論考で触れようかなと思っています。その後は俳優さんからの質問。山科さんは、「このお話の場所はどういう場所を想像するのがいいのか。例えば、具体的な場所を想像しても構わないのか、抽象的な場所を想像する方がいいのか。」と。それに対して、犬飼さんは、どちらでも構いません、とのこと。このシリーズは、場ごとにテーマがある。新衛星では、オフィスなんだけど、バレンタインの話だよね、と言って、バレンタインの起源を語りだした。

3回の座っての読み合わせを終えて、4回目からは立って読むことになった。「仕事内容に関してのセリフは 上っ面感を出す」との指示アリ。ひとまず、出はけの指定がされる。ここではじめての身体の演出、「スタスタ歩いて来てください」が出る。その後4回立って稽古をした。読み合わせは全部で7回やったことになる。この稽古場では、「もっと、軽く」との指示が頻繁に出る。この軽くとは、客と俳優の行ったり来たりがない状態でいい。なんでもできる状態を目指すとのこと。これは、ホワイトボードの説明とも関わっている。バンドがグルーブを生んでいて、誰かが失敗しても合わせられるから大丈夫な状態を目指すとのことだった。山村さんの動きに会話している二人の周りを回るというのが追加されたが、宇宙的な感じがした。動きが入ることによってテキストが整理されていった印象。

新衛星には小道具がいくつか登場するのだが、山科さんと渡邊さんがカレンダーをお互いに想像しながら、会話をするシーンがある。このカレンダーは実際の物体としてある訳ではないが、カレンダーのデティールを想像しながら会話をしている。山科さんは山科さんのカレンダー、渡邊さんは渡邊さんのカレンダーを想像しながら二人で会話をしている。このような細かい「ズレ」が新衛星には多く潜む。

新衛星の稽古時間は現在約4時間。

1996年生まれ。高知県出身。 大学入学とともに演劇活動を開始。明治大学文芸メディア専攻在学中。現在、無隣館三期演出部に所属。2017年カンパニーメンバーを持たない形で、演劇団体ムニを立ち上げ、主宰。出演作に、高山明演出『ワーグナープロジェクト』。ムニでは劇作演出を行う。