[日誌]5月8日『ふたたび接近する木星』1

犬飼さんが到着するまで、俳優と演出部だけが稽古場にいる。

緩やかに自己紹介を済ませ、おいしい御煎餅を食べながら談笑する。

「一回、読んでおこうか」と座りながらの本読みが始まる。俳優が全員揃っていたわけではないので代役をたてた。

松竹さんは座ったままではあるが身振りをつけながら台詞を読み始めた。

西山さんは立ち位置を再現するために座る位置を移動した。

約20分の本読みが終わった。

犬飼さんが到着。近状報告しつつ談笑。御煎餅を食べながら。

今度は小道具を使いながらの本読みが始まる。俳優はまだ全員揃ってはいなかった。

二回目の本読みは俳優の身振りが増えたうえに表情が豊かなことに気が付いた

。自分の台詞を言う前に口を動かしてかまないようにしている人もいた。目の前の俳優はみるみる戯曲の中の空間を立ち上げていくようにみえた。「この人たちどこいってんだろう」そう思った。さっきまでの御煎餅はどこいったのだろうか。

本読みの間犬飼さんは二回唸った。唸った原因は私には分からない。

本読みが終わると犬飼さんはこのシーンが全体の中でどういうものであってほしいのかということと、と戯曲の内容について語りだした。

「5人であるということ

このシーンには5人の人が出る。このことは視覚的にも台本的にもボリュームがある。5という数字は会話にどのような奥行きを与えるのか。1:2:2にも2:3にも1:1:3にもなりうるこの5という数字は魅力的だ。

実際に立ってみて動きながらの稽古開始。

座りながら読んでいた時よりも俳優が「どっかいってしまっている感」がなくなった。きっと戯曲にある虚構の空間はこの稽古場という空間と対峙したときすこしひるんでしまうものなのだろうと思った。私は代役としてその空間に立った。俳優ではないので演技はできないなーと思いながらとりあえず今見えているものにたいして自分が日常的にしている反応をした。相手が見てきたら、みる。邪魔になりそうならよける。相手が誰であろうとそういう風にするなぁという反応をした。

 

稽古もそこそこの時間になってきたがまだ俳優がそろっていなかったので場所を移し稽古を延長した。

そこで俳優がそろった時、俳優たちは全員、「どっかいってるなー」という風に見えた。怖い。

 

1995年栃木県生まれ。 立教大学現代心理学部映像身体学科、卒業。 2016年に同学科教授・松田正隆氏が代表をつとめる、マレビトの会のプロジェクト・メンバーとなる。フェスティバル/トーキョー16主催プログラム『福島を上演する』に演出部として参加する。(2018年現在、マレビトの会演出部に所属) フェスティバル/トーキョー17「実験と対話の劇場」では、演劇作品『驟雨』(作・演出)をあうるすぽっとにて上演した。