6月2日『木星のおおよその大きさ』合同稽古1

合同稽古通し後の日誌です。今回は作品全体の話と各作品の魅力について触れられたらと思います。

〈1場 木星の日面通過〉

『木星の日面通過』は過去に上演されている作品ということもあり、俳優の浅井さん、深澤さん、前原さんのグルーブ感(なんでもできる感)が特徴的だ。一見へんてこな動きが許容される不思議さがグルーブ感から生れている。

グルーブ感は各々が発話の意識を継続させることから可能になる。たとえ、煙草が一個バケツからはみ出たとしても、そのはみ出た煙草が演技の自然に返っていくのだ。生っぽい笑いを深澤さんが途中でしたのだけれど、筆者はその生っぽさがすごくよかったと思ったのだった。その根拠はグルーブ感が生み出す「自然」にあるのかもしれない。

〈2場 木星からの物体X〉

こちらも過去に上演されている作品。1場から引き続いて登場する浅井さん、新たに加わる西山さん、本橋さんの3人芝居。通し稽古によって、はじめて1場と2場が接続されることにより、一人居残る浅井さんの存在が1場での出来事を思い出させる。

この短編を見ている方は一定数いらっしゃると思うのだが、1場とゆるやかに接続されることで、短編そのものを観ることとはまた違う、別の視点も加わっているように思う。

小道具の存在感も必見。

〈3場 真昼に見える木星〉

深澤さん、松竹さん、渡邊さんの基本的には女子3人の会話が引き続く場である。この場では、渡邊さんの、第三者(観客)に向けての語りと、相手役に向けての語りが見られるのだが、相手役に向けての語りがどこかで我々(観客)に向けられている気がしてくる。観客と話者をつなぐベールが透明になる瞬間が現れる。

不思議さはその点にとどまらず、会話の主導権を持っている主がほんとうは誰なのかさえわからなくなってくる。

(ここで休憩をはさむ)

〈4場 木星の五年後〉

山科さん、山村さん、渡邊さんの3人芝居。五年後というタイトルからもわかるとおり、これまでとこれからを話す作品となっている。

渡邊さんは3場に続いての登場。この場の3人の登場人物は既に仲の良い印象を受ける。1〜3場から、4場に移った際に、その登場人物どおしの関係性の変化を感じたのだった。筆者は4場の稽古場に普段いるのだが、「デティールを大切に」と犬飼さんが最近何度も言っている。デティールの大切さは関係性の変化を生じさせることにも関係しているのだろうか。

〈5場 木星の逆行〉

前原さんと渡邊さんの二人芝居。エレベーターを待っている二人を描く作品なのだが、渡邊さんが3、4、5と連続登場することもあり、5場では渡邊さんの役にまた変化が現れる。

この場に小道具は登場しない。二人がどこをまなざし、どのような動きをするのかが楽しい。

〈6場 木星という星とは

松竹さんの一人語りのシーン。これまで一人だけが登場して、一人だけで語ることがなかったこともあり新鮮に感じる。会社についてどうなんだろう…という語りが続く。

〈7場 ふたたび接近する木星〉

6場で登場した松竹さんが、西山さん本橋さん、山科さん山村さんのいるところに加わり場がはじまる。

だれが引き続いていた会話を別の方向に移行させるか、また引き続けさせるかというところが見どころのように思う。その移行させる主が移り変わっていると見ているのだが。

やはり人数が増えることにより関係性も増幅する。この中には様々な関係性が含まれており、その中で会話がなされる。ときにその関係性を超えるかのような発言も飛び出す。

〈8場 木星のおおよその大きさ〉

浅井さん、近藤さん、山科さんの3人芝居。設定場所は男子トイレである。この写真を見るだけでも可視化が楽しい。山科さんが歯ブラシで歯を磨いていて、登場する具体的な小道具は歯ブラシとハンカチだけ、けれども動きや配置により、この場が男子トイレに見えてくる。

3人の発話の構図(2対1の会話)が入れ替わるのが楽しい。

1996年生まれ。高知県出身。 大学入学とともに演劇活動を開始。明治大学文芸メディア専攻在学中。現在、無隣館三期演出部に所属。2017年カンパニーメンバーを持たない形で、演劇団体ムニを立ち上げ、主宰。出演作に、高山明演出『ワーグナープロジェクト』。ムニでは劇作演出を行う。