6月4日『木星の五年後』(木星の新衛星発見)3

〈デティールという言葉〉

デティールという言葉が稽古場で幾度か出てきた。「デティールをしっかりしましょう」という指示が飛んでくるのだが、デティールとはなにか。

私ははじめ、指示される「ディテール」の意味がうまくわからなかったので、出演者の山村さんと渡邊さんと帰りの電車でそのことを話した。周りとの関係性をはっきりさせることとかかな、との返答を受けて、「関係性をはっきりさせることは作品の見え方をクリアにすることにつながる。たしかに。」と思った。しかし、どうやら犬飼さんの言うデティールとニュアンスがそれとは少し異なることがわかった。

犬飼さんの該当記事→http://astronautsboard.com/mokusei/2018/06/06/0606_01/

デティールの例に、「縦になってる双子用のベビーカー」を想像しながら発話することと、しないことでは異なってくる、という記述がある。これには俳優がセリフを言葉として認識するだけではなく、言葉以前の姿として認識する必要がある。

セリフというものが用意されている上で、セリフの中身を想像しながら発話するという体験は演劇体験でしかほとんどないことだろう。例えば、この「ディテールをしっかり」という指示が出た際に、つまづいてしまった時、わたしたちはどのようにしてそのつまづきに対して行動を取ればよいのだろうか。このような場合によく言われるのが、なにかをはじめてできたときのことを思い浮かべなさい。例えば、このディテールの場合、わたしはふとマジカルバナナを思い出した。

「バナナと言ったら黄色、黄色と言ったら信号、信号と言ったら止まる、止まると言ったら・・・」マジカルバナナは「モノ」を想像して、次の「モノ」を出現させるが、次の「モノ」を出現させる際には前の「モノ」を想像した上で新たな「モノ」を登場させなければならない。このときの次の「モノ」が生み出される前の脳の状態はとても自然に言葉を想像することができている状態なのではないか。

なんだかディテールとはなにかを探ることひとつで、とても回り道をしてしまったような気もするが、「想像しながら発話する」ことで発話が豊かになることはたしかにそうだと思うのだ。では、関係性をクリアにすることは何に関係してくるのか、これはまた次の稽古で確かめることになりそうだ。

 

 

1996年生まれ。高知県出身。 大学入学とともに演劇活動を開始。明治大学文芸メディア専攻在学中。現在、無隣館三期演出部に所属。2017年カンパニーメンバーを持たない形で、演劇団体ムニを立ち上げ、主宰。出演作に、高山明演出『ワーグナープロジェクト』。ムニでは劇作演出を行う。